第8期 「禅・仏教講座」 始まります
こんにちは!
仏教講座、いつも応援くださりありがとうございます。
今月25日(日)から、第8期が始まります。
もう8年目か・・・と自分でも驚いております。
私の昨年7期は、室町初期の激動の時代を1年生きたように思います。
100キロ超えの猛スピードで、次から次へと現れる障害物を必死に避けながら、
全身全霊をかけた集中力でハンドルを握る足利尊氏の弟であり室町幕府成立当初の実質的運営者であった直義公を、隣の席で見ているような思いでおりました。
最後はもう車はボロボロでとうとう大破してしまいました。
どんどん傷ついていく姿を見ていて本当に悲しかったです。
後醍醐天皇も、楠木正成も、時代の突然変異のようなバサラたち、高師直も、そしてやがて尊氏も・・・皆滅んでいきました。
歴史の事実は知っていても、どうか夢窓国師のお示しを今一度思い出して、生き方を間違わないで!と思わずにいられず・・・
心はもうどっぷり太平記の世界におりました。
そして、夢窓国師のお教えを、直義公の背中越しに同じ部屋の隅の方でひっそり拝聴している気持ちでした。
なんてすごい禅師だろう、と毎回恐ろしさと有難さとでいっぱいになりました。
身に余る大切なことをたくさん教えていただきました。
本当にありがとうございました。
そして今期です。
今度はなんと奈良に参ろうかと存じます。
7年前、お釈迦様は何を覚られたのか、というところから始まり、
大乗仏教を起こした仏教者たちの情熱に感動し、
龍樹の『中論』や『天台小止観』で仏教の科学に違背しない優れた理論に驚いたり、
大乗仏教の聖典たち、『般若心経』『華厳経』『維摩経』などを読み、
めくるめく経典のイマジネーションあふれる世界に夢見心地になったり、
中国の禅『六祖壇経』を拝読することで、禅の修行者の端くれである身としては、
六祖のお説きになる一言一言に心臓を握られるような緊張でいっぱいになったり・・・
そんな7年を経て、
今回は、奈良、です。
今、どっぷりはまってます。
なんだか奈良時代って、キラキラしてます。
もちろん血なまぐさいこともたくさんありますので、キラキラなんて言うと批判の矢が飛んできそうですが、それでも黎明期の無垢さが感じられて、前回の暗い苦痛が少し救われます。単なる若さへのキラキラ感かもしれませんが、
これまで仏教がインドから東漸してくる様子を学んできて、いつかは日本が仏教という初めての思想に出会って、驚き迷い悩みながらもそれを生かそうと決心した、その原点に触れてみたいという気持ちはずっと前からありました。
そして一応ざっくりとは歴史も知っているつもりでしたが、今こうしてあらためて学び始めてみますと、古墳時代の終わりから飛鳥時代にかけての日本がいかに特異な状態であったか、想像を遥かに超えた興味深さでいっぱいです。
まずこの時代、自然に「開国」しています。奈良朝の政治家は誰でも中国や朝鮮半島の歴史は即日本の問題として直結しているもの、と普通に認知していました。
実際に渡来人が日本で果たしてくれている役割は現状大変大きいわけです。当時の日本にとっては彼らがもたらすものは皆高度なものであり、学ぶのが当たり前、取り入れるのは必至でありました。
聖徳太子の祖父にあたる欽明天皇は朝鮮半島南部の任那を失ったことを死の直前まで悔やみ、遺言として取り返せと言ったくらいです。こんな時代がこの後あったでしょうか?
実に国外に開かれた日本だったということに今更ながら驚いています。そんな中で、当時の最先端文化である仏教を取り入れ、国の礎としていこうという見識を実行に移したのが聖徳太子だったわけです。
ここで聖徳太子がいたのかいないのかなどの議論もありますので、今回の立ち位置についてご説明いたします。
本当にいたかどうかはいつまでも議論になるのかもしれませんが、ただ、仏教を取り入れ、国家を作ろうとした人々がいたことは事実です。
そして三経義疏も太子が著したのは法華義疏だけであると言われたりしていますが、これも、当時誰かが書いたことは事実なわけです。
従って、誰という議論に巻き込まれずに、すぐれた書物に学ぶことを大事にしたいと考えています。
そして何より聖徳太子が仏教によってこの国は豊かになる、世界は豊かになる、人々は幸せになる、となぜ確信できたのかを学びたいと思うのです。太子の悟りを学びきれずに日本はその後平安・鎌倉・室町・戦国と戦いの時代をへていくことになりました。
それでも、親鸞聖人のように、太子を敬愛して太子の思想を蘇らせようとした方もいらっしゃいました。しかし私たちの世界は太子の時代から1500年を経たにもかかわらず、争いも止まずにいます。太子の祈りはいまだ実現していないと言わざるを得ません。
ぜひ我が国最初の思想家に立ち返り、あらためて今を考えていく機会にしませんか?
もちろん、楽しく興味深い歴史もいろいろご紹介していきます。
ご一緒に勉強できましたらうれしいです。
今年一年、どうぞよろしくお願いいたします。
合掌 慧日庵玉溪